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ナチスから逃れたユダヤ人少女の上海日記 [本]

ナチスから逃れたユダヤ人少女の上海日記/ウルスラ・ベーコン/祥伝社

戦前、戦中の上海の様子は、教科書でも扱いが少なく断片ですらなかった。日本が上海でした事が迫ってきました。
[飢え、病気、絶望、犠牲、心をずたずたにする喪失。それが戦争の求めてくるものだ。わたしたちは皆、要求されたものを支払った]。一方で儲ける為に戦争を準備し煽る者がいる。
広島・長崎の原爆を知ったときに、
[罪もない人たちの、わたしたちと同じくらい戦争の終わりを望んでいた人たちの命はどうなったのだろう?]
との思いを私は抱くだろうか。私を苦しめる軍隊と同じ民族を許せるだろうか。
重い。私にとって戦争は観念の上でしかない。
経験者の言葉は重い。是非。

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「戦況は自分たちに不利だと間近に感じながら、なおもこんなに楽観的でいるなんて。わたしたちったら偉いと思わない?」母が皮肉をこめてほほえみ、黒っぽい瞳を光らせた。「ほんとはユダヤ人はいつも悲観的なはずなのに、おかしいわねえ」(p195)

「変えられないなら文句を言わない。もっといいものがないのなら、これが最高のもの」。こうした適切な言葉を、父は頻繁に言った。だからわたしは学んだのだ。(p284)

「大事なものとそうでないものをしっかり見極めなさい」ユアン・リンが言った。「恐怖に力を与えてはいけません。自分は満たされていると理解しなさい。あなたの性質のうち、優れた部分だけをしっかりとみつめるのです」(P323)

わたしには、ただ言葉をなぞる以外、何もできなかった。崩壊、破壊、爆撃。破壊された、燃えた、倒された、死んだ、負傷した、焼けた。罪もない人たちの、わたしたちと同じくらい戦争の終わりを望んでいた人たちの命はどうなったのだろう? 破壊された命はどうなったのだろう? その人たちだって、誰が勝つか負けるかよりも、ただひたすらに戦争が終わるように願っていたのではないだろうか?飢え、病気、絶望、犠牲、心をずたずたにする喪失。それが戦争の求めてくるものだ。わたしたちは皆、要求されたものを支払った。そうではない? 戦争に、勝者はいない。父が言っていた。勝つ人なんて誰もいない。(p350)

「友よ、一時代が終わりました。あなたの子供時代には憎しみと、恐怖と、剥奪と、戦争しかありませんでいた。それがあなたの成長する年月の根本でした。さあ、今こそ、それを手放しなさい。すると中は空っぽになるでしょう。その空白を、思い切り生きる人生、感謝、夢、未来の計画で満たすのです。
多くの人が、痛みや苦しみ、過去を手放すことができずにいます。持っているものはそれだけだ、と思っているからです。手を離したときに残る穴をどのように埋めればいいのか分らないのです。(p353)

憎悪が世界中に何をするかは、もう充分見た。二十世紀だけでなく、その前の何百年もの間に憎しみが作り上げたもののことなら、いやというほど知っている。
ドイツ人のことは憎まない。日本人のことも憎まない。わたしたちにした仕打ち、それ自体のことは憎むけれど。勝手に決めつけられ、分類され、二級の人間扱いをするスタンプを押され、アイデンティティーを奪われ、目的のある人生を奪われ、星を追いかける自由を奪われた。それはほんとうに許せないことだ。
ユアン・リンが教えてくれた。経験したことすべてに感謝しなさい。なぜなら、わたしは、今までのすべてのことからできているから。わたしは生きてきた日々そのものだから。わたしは、わたしが作った作品だから。(p365)


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